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■白雉の理想に生きる教師たち
〜四半世紀に出会った教師を志す学生たちの《いま》〜

武蔵大学名誉教授 黒澤 英典

◎武蔵での青春の日々に培った心の糧を、夢の実現にむかって、今、まさに《未来への挑戦》をしている。彼の20年の教師生活を支えてきた信念を渡来君は、次のように語ってくれた。

 1)定時制に学ぶ生徒達は、様々な困難を抱えて学ぶ生徒達なので、常に、生徒達には「不幸に負けるな」と言う気持ちで日々接している。
 2)平和であることが、最大の価値であり、すべての暴力を否定することを《教育の力》で伝えていきたいと考え、「暴力で人の心は支配できない」ことを伝え、行動で示していこうと心かけている。
 3)生徒には一日一回は、声をかけることを心かけ、「対話による学び合い」をめざしている。もちろん、「生徒達は学びたい、分かりたい、成長したい」という願望と願いをもっている。その願いを、しっかり受け止め、生徒らと共に未来に向かって学んで行きたい。
 4)教師の仕事をしながら、迷い悩んだときには、武蔵大学卒業式の時に、わたし(黒澤)が彼に贈った色紙のことば「学ぶことは心に誠実を刻むこと、教えることは共に希望を語ること」を思い出し、勇気と自信と希望をもって未来に挑戦している。

 さらに、「困ったら初心に戻れ」専門ゼミIでお世話になった小沢辰雄先生の言葉、最後に、「学校(学生や教師)で理想が語れなくて、(誰が)理想を語れるのか」専門ゼミIIで、お世話になった今井勝人先生の言葉。
 こうした教えが、今、わたしを支え、定時制の生徒達ともに《未来に向かって夢と希望を心に秘めて》進んでいるのだ」と、伝えてきた。
 3月は卒業・そして新たな旅立ちの季節です。2009年3月、渡来先生の卒業生に贈る言葉を…

4年生の皆さん卒業おめでとう。

社会科担当 渡来和夫 


 四年生の皆さんとは、今年から「工芸基礎」と「政治経済」の授業を共に学びました。
 「政治・経済」は、科目履修生の町民の方々が参加した授業で、今までの社会科の授業とは少し雰囲気が違ったものだったと思います。この1年間、四年生と一つの教科で関わることができたことは、いつも新しい発見があり、楽しく、充実した日々でした。
 また、「工芸基礎」で制作した調理台や校歌パネルは、みんなが卒業した後も、後輩たちが様々な場面で目にし、活用していくものになっていきます。
 遠軽高校定時制で学んだ皆さんのことが、形として後輩たちに引き継がれ、継承され、歴史を刻んでいきます。
 科目履修生を交えた授業は、専門的になりすぎたこともありましたが、皆さんの両親や祖父母の方々と同じ年代の方々の「学びに対する意欲」「生涯学習のすばらしさ」を身近に感じる事が出来たはずです。10年後、20年後そして30年後に、共に学んだ科目履修生の方々のあの熱心な学びのことを思い出せば、皆さんも生涯にわたって「学ぶこと」のすばらしさをきっと、今とは違った形で感じることが出来ると思います。
 卒業生のみなさん一人ひとりのこれから始まる生涯が、意味ある一生であることを祈ります・…。
 これが、昨年の卒業生に贈った彼の言葉です。今年も卒業生の新たな旅立ちの季節です。きっと、まだ春遠い雪深い地で、若者にきびしい社会的状況のなかで、武蔵で学んだ青春の日々の思いを心に秘めて、定時制の高校生と共に、希望を語りながら未来に挑戦している一人の教師がいるのです。

(第1回おわり) 

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