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■武蔵大学60年のあゆみ
武蔵大学名誉教授 星野 誉夫

新制武蔵大学の特色は何だったのでしょうか

 大学は、旧制高校共通の特色であった人格主義・教養主義の理念を教養課程の教育に活かし、専門教育課程において高度な研究に基づいた専門知識を与え、同時に学生の研究能力を発展させて、「三理想」を具現するにふさわしい人物を育てることを目指しました。 1学年120名という「少数精鋭主義」の教育を追求し、ゼミナールと指導教授制によって、教育と研究指導に力をいれました.教職員と学生との関係、学生同士の関係も、緊密で親しくなるように努力しました。 教授陣は、教養課程は旧制高校以来の、専門課程は鈴木武雄学部長以下主として新任の、優れたメンバーによって構成されており、新制大学として特色ある教育を心がけました。武蔵大学に対する評価は高く、早稲田、慶応など大きな大学に合格しても、少数教育の武蔵大学を選んだ学生がいました。また、旧制高校以来の定評ある理科系教授陣と施設を活用して、1955年度入学生まで医歯学部進学課程を併設していました。

新制の大学・高校・中学の関係はどうだったのでしょうか

 成立の事情から、大学学長・高校中学校長は同一人物(初代は宮本和吉旧制高校長)で、教員は専門によって異なりますが、籍は大学でも高校中学で教え、籍は高校中学でも大学で教える教員が多数いました。事務は、一体化していました。父兄会も一体化していました。大学の卒業生の就職にあたっては、父兄会や旧制高校の卒業生の協力がありました。校舎その他の施設は、大学の女子学生用を除き、旧制高校以来のものを共用していました。財政も一体となっていました。武蔵高校の卒業生は毎年二桁、多い年には30名を超える生徒が、武蔵大学に進学しました。初期10数年は、大学高校中学の関係はきわめて緊密であったようです。ただし、大学・高校中学は制度上それぞれ独立していました。
 この関係が変わってきたのは、経営学科設立前後からのようです。 高校中学は、従来通りの規模の教育を希望したのに対し、大学は種々の事情から規模拡大を考えるようになりました。これにともない、大学は人事面、財政面で自立方針を強化していきます。経営主体は同じ根津育英会ですし、同じキャンパスですから共通の問題については相談していましたが、次第に相互の独立性が強まっていきました。