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 江古田駅

ちょっと古いが「サルビアの花」という全国的ヒット曲があったのをご存知だろうか?勿論、四十代以上の世代にしか記憶にないだろう。数組の競作だったのだが、アイドル歌手版の方を歌っていたのが、岩淵リリ。そのお父 さんがやっていたのが、前述の「玉美寿司」である。岩淵リリとお姉さんとの美人姉妹の店として、学生達の憧れの的であった。そもそも回転寿司もない時代、学生にとって「寿司」なんぞ盆と正月にしか食べられない代物だっ た。当時、世話になっていた欧米文化学科の教授(ところで小生は経営学科生だったが……)に御願いして連れて行ってもらったものだ。先生の話より、お茶を持ってきてくれる美人姉妹(当時の我々にとっては「少しお姉さん」 の年頃だった)が気になり、あたふたしてしまった。思えば何と純情だったのだろう、と我ながら感心してしまう。  

感傷に浸るのもこれくらいにしておこう。要は、江古田には今も昔と同じ空気が流れ、居酒屋で騒いでいる学生の大半が武蔵大生であるということ(そういえば日芸の皆さんはどこで飲んでいるのだろうか?)。もし、しばらく江古田に顔を出していないというのであれば、是非大学を訪ね、大きく育った木々に囲まれたあの日と変わらぬ学び舎を見てきてほしい。 そしてその隣りにある立派な8号館10号館も眺めてきてほしい。昔と同じ空間に、違和感なくすっぽりと納まり、過去と現在が見事に融合していることに気がつくだろう。 そして、当然帰りには、懐かしき居酒屋を覗いてほしい。安酒で赤い顔をした学生にそっと生ビールを箸ってやるのも悪くはない筈だ。えっ?今日日の学生は自分達よりもいい酒を飲んでるって?ご尤も、これもまたご時世なのか もしれない・・・・・・

(取材と文:広瀬 壮次郎)


現在の江古田駅