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■東京都・西東京市 吉川好英さん(44回経営)

真冬に頬張る鯛焼き、
しっぽからはみ出した餡子が焦げて香ばしい「鯛焼きのよしかわ」


◆焼き型を大切にする心、鯛焼きたちにも伝わって

来る日も来る日も頂いてきた焼き型を使って、朝から晩まで鯛焼きを作る練習をした。餡子は図書館で調べて、試行錯誤しながら作った。こうして、どうにか人前に出せるものができるようになり、少しずつ自信もついてきた。また以前の販売の仕事では、我武者羅に働き、ひとの数倍も業績を上げ、結果が数字で出せたことも、さらなる自信につながったと思うと話してくれた。

鯛焼きの型には、一度に十数匹が焼きあがる鉄板式のものと、ひとつずつ焼く一本型式の2種類がある。吉川さんが使う焼き型は、名人の形見の「一本型」である。

手早く型に油を塗り込み、火にかけて型を熱する。生地を流し込む頃合いを見るために、聞いた焼き型の熱し具合を頬に近づけて確かめる仕種も決まっている。生地を流し込み、餡子をその上に寝かす。焼き加減に絶えず気を配りながら、焼き型を軽快に一本ずつひっくり返していく。

「もともと自分は、物を作ることは大の苦手なんです。でも、人とのコミュニケーションが大好きなので、ちゃんとしたコミュニケーションをとるには、ちゃんとしたものを作らないといけない、と思っています。 だから、お客さんにとって良いもの、喜んでもらえるものを必死で作っています」

吉川さんは「良いもの」を作るために、北海道の小豆農場にも2〜3週間滞在したという。お客さんの中に、親戚が小豆農場を経営している人がいて、紹介してもらったそうである。 ここで得た小豆の知識が、トヨミ大納言を使った「美味しい餡子」を生み出している。

鯛焼き屋さんは11月、12月、1月が最も繁盛する。今年は春の盛りを過ぎても、寒い日が長引いているので、売れ行きも順調であるという。

焼き型から次々と鯛焼きが出されていく。吉川さんの迷いのない自信が、活きのいい鯛焼きとなって網の上に並んでいる。


腕にも食材にも自信あり 鯛焼きも胸を張る

(取材と文:山下 多恵子)