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■第18回 土曜講座 「音楽のとどけもの おくりもの」 の報告

講師 馬場 隆弘氏 (40回生欧米、清水ゼミ)

  満席の大教室で、馬場さんのチェロの生演奏。オープニングはシューマンのトロイメライで始まり、オーケストラのこと、効果音のこと、楽器(チェロ)の興味深いお話。バッハ「無伴奏チェロ組曲第一プレリュード」、サンサース「白鳥」等演奏の合間の馬場さんのお話はユーモアに溢れ、笑い声があちらこちらにおきる楽しい時間でした。クラッシクに造詣の深い方々が多く、質問も多く寄せられました。
 武蔵の「自由な校風」が馬場さんのような素晴らしい人材を輩出する土壌になったのは興味深いことです。馬場さんが、豊かに音楽を楽しんでもらうために家庭やパーティー会場に「音楽のとどけもの」をいたしますので、お気軽に声をかけてください、と話されたことが印象的でした。

(26回生、同窓会理事 及川 尚人)




 ●講演を終えて・・・   馬場 隆弘

  2005年の2月に土曜講座において講演をさせて頂きました。
 音楽家というのは大体人前で話すのは苦手な人が多いものなのですが、聴きにいらしていただいた皆様の暖かい気持ちに支えられ、なんとか無事に講演を終えることが出来ました。ありがとうございました。
 現在、僕は東京交響楽団でチェロを演奏させて頂いております。周りにいる演奏家は子供の頃から音楽の勉強をしてきたような人たちですから、僕みたいに途中でこの道に紛れ込んできた者にはちょっと入りにくい雰囲気もありました。言うなればちょっとコワイんです、プロオケって…。楽しく音楽するような人が少なくて、以前は自分をあまり出さない様にして仕事していた気がします。
 先日、武蔵大学時代の自分の演奏を撮ったビデオが出てきました。よほどヒドイだろうと思って観てみると意外な事に結構上手かったんです。技術的にはいまいちなんですが、楽しく音楽をしているので聴いていて楽しいんです。多分自分が弾きたい曲を弾きたいように弾いていたからなのでしょう。武蔵大学の学生会館で自由に音楽を遊んでいた頃の事を思い出しました。すすき川の緑の中で、たまに遊びにくるアヒルにも楽しんでもらえるように、お金も地位もなかったけど時間だけはたっぷりあったので、日がな一日好きなようにチェロを弾いていました。そんな環境の中で豊かに音楽を楽しむ心を育てる事が出来たのではないかと思います。
 今僕の周りにいる演奏家たちは多分こんな風に音楽をしてこなかったのだと思います。今ではその事を逆手にとって、僕だからこそ思いつく音楽の在り方を積極的に提唱するようにしています。オーケストラでもつまらなそうに演奏するのではなく、周りの奏者の事も盛り上げられるくらいに楽しく演奏するように心がけるようにしていますし、室内楽の分野でも生活空間に生の演奏を取り入れる事やプロアマ関係なく楽器で遊ぶ会を運営するといった事も行っています。そうすることできっとクラシック音楽のファンも増えて、演奏家もお客様も皆で豊かになれるに違いないと僕は信じています。皆さんも是非、豊かな音楽を楽しむ一員になりませんか?  

 

土曜講座 馬場氏
 
土曜講座 馬場氏